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破産確率(Risk of Ruin) — あなたのバンクロールが本当に足りているかを示す数式

破産確率(Risk of Ruin) — あなたのバンクロールが本当に足りているかを示す数式

「勝ててはいるのに、気づいたらバンクロールが減っている」「30BIあれば大丈夫と聞いたけど、本当に自分のバンクロールで足りているのか確信が持てない」——バンクロール管理の悩みの9割は、数字で判断していないことから生まれます。

そこで役に立つのが**破産確率(Risk of Ruin、以下RoR)**です。勝率・分散・バンクロールサイズの3つを入れるだけで、「長期的に破産する確率」が計算できます。

この記事では、ライブポーカーで使えるRoRの近似式、$1/$2〜$5/$10のレート別実例、そして自分のRoRを下げるための実務アクションを解説します。

破産確率(Risk of Ruin)とは

RoRは「現在の勝率と分散を前提に、無限にプレイし続けたときに一度でもバンクロールがゼロになる確率」です。

重要なのは次の3点です。

「30BI持っていれば安全」という経験則は、この指数関数的な減少を背景にした近似的な目安に過ぎません。実際のRoRは、あなたの勝率と分散次第で大きく変わります。

RoRを決める3つの変数

RoRは以下の3変数で決まります。

1. 勝率 (Win Rate)

単位時間あたりの期待収支です。ライブキャッシュゲームでは通常**$/h**(時給)で表現します。

重要なのは、上振れを除いた実力値を使うことです。50時間の結果ではなく、最低500時間以上のサンプルで判断してください。

2. 分散 (Variance / 標準偏差)

1時間あたりの収支のばらつきです。ライブNLHでは時給の約10倍が目安になります。

オンラインはハンド数が多く短時間で分散が顕在化しますが、ライブは1時間で25〜35ハンドしか打てないため、時間あたりの標準偏差自体はオンラインより小さくなります。

3. バンクロールサイズ

ポーカー専用資金の総額です。生活費と混ざった口座はバンクロールにカウントしません。別口座・別財布に隔離された金額だけが、RoR計算の対象です。

近似式 — RoRの計算方法

ライブキャッシュゲームで使える近似式は次のとおりです。

RoR ≈ exp(−2 × WR × BR / σ²)

直感的な意味

式の中で重要なのは、WRとBRは分子、σ²は分母という点です。つまり、

つまり「勝率を上げる」「バンクロールを積む」「分散を抑える」の3つすべてが、RoR低減に直結します。

計算例

時給$15、標準偏差$150/h、バンクロール$6,000のプレイヤーの場合:

一方、時給$5、標準偏差$150/h、バンクロール$4,000のプレイヤーだと:

同じ$1/$2でも、勝率とバンクロールの組み合わせ次第でRoRが500倍以上変わることが分かります。

許容すべきRoRの目安

どこまでのRoRなら許容できるかは、プレイヤータイプ次第です。

プレイヤータイプ許容RoR実質的な意味
趣味・レクリエーション10〜20%飛ばしても生活に影響がない範囲で楽しむ
真剣に取り組む5〜10%数年プレイすれば必ずダウンスウィングは来る
専業・プロ1〜5%収入源が途絶えるリスクは極力ゼロに近づける

専業が特に注意すべき点

専業は生活費をバンクロールから引き出すため、式の分子(WR)が目減りし、実質的なRoRは計算値より高くなります。

机上のRoR 1%が、生活費を引くと10%に跳ね上がるケースは普通にあります。

ステーク別・RoR実例

$1/$2から$5/$10まで、典型的なライブキャッシュプレイヤーを想定したRoRです(σは時給の10倍で算出)。

レート勝率σ (標準偏差)バンクロールBI数RoR
$1/$2 NLH$10/h$150/h$4,00020 BI約3%
$1/$2 NLH$10/h$150/h$6,00030 BI約0.5%
$1/$3 NLH$8/h$200/h$6,00020 BI約9%
$1/$3 NLH$8/h$200/h$9,00030 BI約3%
$2/$5 NLH$40/h$400/h$10,00020 BI約1%
$2/$5 NLH$40/h$400/h$15,00030 BI約0.1%
$5/$10 NLH$80/h$800/h$20,00020 BI約1%
$5/$10 NLH$80/h$800/h$30,00030 BI約0.1%

ここから読み取れること

これらは「弊社のバンクロール管理ガイドが言う30BI」が、なぜライブで妥当な目安になるのかの数学的な裏付けでもあります。

RoRを下げる実務アクション

RoRを下げる方法は、式から逆算すれば3つしかありません。

1. バンクロールを積む

もっとも確実で、かつ再現性が高い方法です。とくに勝率が不安定な時期は、バンクロールを増やすことがRoR改善への最短ルートになります。

2. 勝率を上げる(=テーブルセレクション)

ライブポーカーの最大の武器は、テーブルを選べることです。レギュラーだらけのテーブルと、酔ったレクリエーションプレイヤーが多いテーブルでは、同じ$1/$2でも時給が2〜3倍違うこともあります。

WRが2倍になれば、RoRは平方で下がります

3. 分散を抑える

分散を減らす方法は限定的ですが、以下は有効です。

ショットテイキングの扱い

上のレートに移るとき、全資金を一気に移さないことがRoR維持の鉄則です。

この運用を守るだけで、チャレンジ全体のRoRを1桁下げることができます

よくある誤解

誤解1:「勝率が高ければバンクロールは少なくていい」

部分的には正しいですが、RoR計算は期待値だけでなく分散も見ていることを忘れがちです。時給$40/hでもσが$500/hあれば、20 BIでのRoRは無視できません。分散の大きいスタイルのプレイヤーほど、BIを厚めに積む必要があります。

誤解2:「RoR 0%を目指すべき」

RoR 0%は数学的にはバンクロール無限大でしか達成できません。現実的には1〜5%の範囲に収めるのが専業の目安で、それ以下を追うことは機会コスト(低レートに留まりすぎて時給を犠牲にする)を生みます。

誤解3:「ライブはオンラインより分散が小さいからBIは少なくていい」

時間あたりの分散は確かに小さいですが、経費を引いた実質時給で計算すると話が変わります。遠征費・タイムチャージ・食事代を差し引くと、$1/$2の実質時給が$5/hを切ることも珍しくありません。その条件では20 BIでRoRが2桁に跳ね上がります。

自分のRoRを把握するには — Poker Bankroll Manager

RoR計算は理屈では単純ですが、実際の勝率と分散が分かっていなければ意味がありません。「なんとなく勝っている」という感覚だけでは、WRの推定が大きく外れることが多いです。

Poker Bankroll Managerは、ライブポーカー専用に設計された収支管理アプリです。セッションごとの時給、レート別の収支・時給標準偏差、遠征経費を自動で集計してくれるため、あなた自身の実データをもとにRoRを試算する下地が整います。

AIコーチ機能を使えば、「現在のバンクロールで$2/$5にショットテイキングしてよいか」「$1/$3に移るために必要な追加バンクロールはいくらか」といった判断を、実際の勝率と分散をもとに相談できます。

まとめ

内容
RoR近似式RoR ≈ exp(−2 × WR × BR / σ²)
許容RoR(趣味)10〜20%
許容RoR(真剣)5〜10%
許容RoR(専業)1〜5%(生活費を引いた実質WRで計算)
RoRを下げる3手段バンクロール積む / 勝率上げる / 分散を抑える
最大の落とし穴実力値ではなく上振れたWRで計算してしまう

RoRは「知識」ではなく「管理指標」です。記録を取り、自分の実際の勝率と分散を把握し、定期的にRoRを計算する——この3ステップを続ければ、「勝っているのに減っていく」という状態から抜け出せます。まずは次のセッションから、時間・レート・収支・経費を正確に残すところから始めてみてください。

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